今まさに恋におちようとしている二人

dddd

一週間後、この前、雨の日に言い交した時刻に例のカフェに入ってみると、外からは見えない奥の席に彼女は待っていて、私を認めて嬉しそうに手をふってみせました。
「やあ」「また会っちゃった」何かイタズラをした子供のような彼女の口調でした。
あのとき10分あまり言葉を交わしただけなのに、他人からみたらいまの二人はずいぶん親しそうに映ったことでしょう。
「今じぶん呼び出して、ご迷惑じゃなかったですか」「仕事の関係上、午前はあいています」交代制のIT関係の会社に私は勤めていましたが、彼女は別にそこまでたずねようとはしませんでした。

私もまた彼女のプライベートにはふみこまないつもりでいます。今、二人がここで会っている。

それだけで私も、おそらくは彼女も満足だったのです。

二人は既婚者同士でしたが、ここにいるのは今まさに恋に落ちようとしている男と女でした。

「もしよ、もしあたしが、二人だけでどこかに行きたいと言ったら、あなたはどうしますか」

ずいぶん遠回しな言い方をする彼女でしたが、私の一言ですべてをきめようという覚悟がその言葉の裏に感じました。

次の一言はさすがに私も緊張しました。

「日曜日なら、つごうがつくけど」「次の」「うん」彼女は私の言葉をよく味わうかのように、しばらく黙り込んでいました。

「じゃ、次の日曜、時間は」「11時がいいね。車で迎えにいくよ。どこがいい」彼女は予め決めていたのか、即座に山の手の図書館前を言いました。

既婚者同士の恋愛から私が学んだこと

gfffff

今ならば、わかること、ということがあります。

私は、かつて、既婚者でありながら、好きな男性がいました。

同じく相手も既婚者でした。

趣味がゴルフだったことがきっかけで、会社のゴルフサークルに入会した私は、彼とも、最初は同じサークル仲間として、数人の男女と一緒に行動していたのです。

勤務が終わってから、数人で練習に行ったり、休日にはコースを回ったりと、決して2人きりでの行動はなかったのですが、お互いに好みのタイプだったのでしょう、いつしか2人で、練習に行ったり、彼に苦手なところを直してもらったりと、どんどん親密になっていきました。

確かに、恋の始まりは、ドキドキして楽しいものです。

ずっと2人で、一緒にいたいと思ってしまうものです。

お互いのメールアドレスは特別なものになり、なんとなく、こそこそと行動するようになってしまいました。

本当は、ずっと一緒に、仲間たちに囲まれて、淡い感情のままでいたなら、もっともと、長く楽しく、彼と付き合えたのかもしれません。

でも、つい、欲張ってしまったのです。

独占欲と、ただ、会いたいという欲望に負けた私は、彼との2人の時間を欲し、彼に要求してしまいました。

今思えば、そんな愚かな事を、彼が望んだはずはありません。

彼は、周囲にばれてしまう前に、と言って、私に別れを告げました。

私は、ショックのあまり、サークルも会社も、辞めてしまいました。

何も残らなかったのです。

無くしたものは、恋の楽しい想いです。

既婚者を好きになってしまったら、決して多くを望んではいけないのです。

存在だけで、幸せなのです。

挨拶だけで、幸せなのです。

今ならば、そう思います。

必ず守るべき既婚者同士の恋愛のルール

hhff

まずまっさきに浮かぶのは、「休日に連絡は取らない事」、でしょうか。

私と彼は、お互いに既婚者同士と知った上で、この恋愛を秘密裏に続けていくことを選びました。

第二に、メールは残さずに即消去する事。

第三に、お互いの家庭が優先。

お互いに、無理な連絡はしない事。

第四に、もしも会う約束をしていて、待ち合わせの場所にどちらかが来なかったら、諦めて帰る事。

決して、理由を聞く為に連絡したり、いつまでも待つ、などはしない事。

第五に、もしも、家族に怪しまれても、知らぬ存ぜぬを貫く事。

完璧に、周囲に感づかれないように、長い事、ずっとずっと付き合っていこうね、と話し合っているのです。

既婚者なのに、恋愛をする事を選んだ人の中には、あまりに無防備で、無知で、迂闊な人がいます。

もしも、お互いの家族に知られたら、きっと、もう二度と二人は会えなくなります。

同じ会社にいるなら、どちらかが、会社を辞めさせられたり、引っ越しさせられたり、環境を変える事を余儀なくされます。

または、訴訟により、慰謝料請求をされたりして、(実際に支払う事になるかどうかは別ですが、社会的信用を無くしたり、友人を無くしたり)今までの自分の人生に汚点が付く事は免れません。)

こんなリスクを背負いながらも、なぜ、この恋愛を選んでしまうのか、自分でも不思議でなりません。